FRONTIERS
矢吹フロンティアーズ
守り育てた「笑って話せる場」
羽鳥疎水の通水後に田畑を開き、来年の米作の籾をとる「種場」として矢吹の農業を支えてきた長峰地区。その原動力となったお母さんたちが農業や子育てに奔走する中で、手作りの直売所を10年以上にわたり運営をしてきた。まさに矢吹のフロンテアスピリッツを体現する「長の実会」にお話を伺った。
最初は地域の若い奥さんで、手芸やダンスなどの活動をする婦人学級の活動が始まりでした。長く活動すると会長になって卒業することになるのですが、その後も集まって何かしようとなったのが、会が始まったきっかけです。
ここは開拓後にできた新しい地区なので、お祭などもないので仲間でおしゃべりをする場所や機会を作りたかったんです。まあ「やってみようか」と軽い感じでした(笑)。会の名前は、地区名と続けて行こうと「長」、何でも前向きに実行しようと「実」を入れました。
みんなは農家でしたので、家で作った野菜を売る直売所を週1回開くことにしました。光南高校の南側に土地を借りて必要な資材を持ち寄って、会員の旦那さんに手伝ってもらい小屋を建てたんです。看板も手書きですよ(笑)。
平成5年に直売所を始めたのですが、その当時は周辺にも直売所はない時代でした。最初は、周りに農家さんが多いので、「野菜を売っても売れないだろ」なんて言われたりもしました。けれど徐々に口コミで噂が広がりお客さんも増えていきました。家族が食べる野菜だから、朝どりで低農薬の安心安全な野菜です。お客さんには「こういう野菜が食べたかった」と言われた時はうれしかったですね。
私たちの野菜を買いにお客さんが開店前から、私たちを待っててくれるんですよ。お客さんが旗を立てて開店の準備して(笑)。トラックから品物を下ろす前から売れちゃうんです。トウモロコシが欲しいお客さんがいたら、畑に戻って、もいで売ったりしていましたよ。朝のピークが過ぎれば、あとは楽なんです。みんなでおしゃべり(笑)。
お店番も記録も、売上管理も全てメンバーで回していました。大切な場所だからこそ、みんなで自主的に守り育ててきました。お客さんも野菜の他にも、いつもの顔を見ながら話をしにきていたのだと思います。
商売なら目標を立てようと、お金を貯めてメンバーでハワイに行こうと活動していました。10年後に目標も達成して、その後も北海道など色々旅行をしましたよ。当時は、ちょうど働き盛り頃。家の仕事も忙しかったけど、週1回の直売所が本当に楽しかった。ストレスの発散の場所でもありました(笑)。いつもは言いたい放題でバラバラだけど、いざという時は一致団結するところが30年続いた秘訣かもしれませんね。いろいろ今まであった事も知ってるし、それでも笑って話せる仲間です。
平成16年に直売所は閉店しましたが、今でもリオンドールの直売コーナーで会のシールを貼った野菜を出荷しています。お店に出荷していると中々みんなで顔を合わせられないので、月に1度は集まって孫の事など話すようにしています。今はメンバーの安否確認ですかね(笑)。女性だけでこんなに長く続いているのは、珍しいと言われますね。
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