FRONTIERS
矢吹フロンティアーズ
乳牛の技術研修所が矢吹町にあるんです!
この施設の正式名称は「全酪連 購買生産指導部 酪農技術研究所」と言います。この施設は、実際に牛を使って試験を行う研究所で、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)という東京に本部を置く、生乳の流通、牛乳・乳製品など製造販売、酪農家への情報や生産資材の提供などを行う酪農専門の農協が運営しています。
昭和49年に酪農研修所として開所以来、農協で提供する飼料などの効果実験や、農協職員の研修などを行っています。自給飼料の畑も合わせて約12ヘクタールもの広大な敷地の中に、約400頭もの乳牛を飼育している日本有数の乳牛の研究所が、矢吹町にあるのです。
そんな施設で昨年から開始された事業が「若齢預託」。言わば子牛の保育園のような事業です。乳牛のメスは、初産を経ないとお乳は出ません。そこで牧場の子牛を研究所に集約して約4ヶ月間預かり、種付けをしてお産近くなったら所有の牧場に戻すというもの。ここでは、北関東の牧場から預かった生後3~6日令の哺育牛、乳離れした育成牛の約300頭を飼育しています。子牛たちにとっては、初めての同級生たちとの集団生活になるというわけです。
所長の山口さんは「酪農家にとて搾乳ができるまで子牛を育てるのは大変です。酪農家の負担を少なくし、集中して牛乳生産ができるようなお手伝いをするのがこの事業です。今年は熊本にも同様の施設ができました」と話してくれました。
何だか町との結びつきが薄いと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。実は研究所で搾乳された1トンもの生乳は出荷されて、酪王牛乳として私達の口に入っています。また、牛の飼育には牛舎に敷く大量の稲わら、もみがらが必需品。研究所で使われる稲わらは、町内の稲作農家さんと研究所から出るたい肥と物々交換して得ているのです。山口所長自らトラックを運転して運搬しているとか。
震災後は一時閉鎖も危ぶまれ、牛が姿を消した時期もあったといいます。自力で表土を剥ぐなど苦労もあったそうです。入ることはできませんが、敷地外から子牛が並ぶ姿を眺めてはいかがでしょうか。
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