フロンティア絶好調!ようこそ!日本三大開拓地、矢吹町へ

FRONTIERS

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水戸 勘十さん
株式会社未来制御
栄養価抜群の果実×日本のモノ作り!
異色コラボで生まれた無添加ジャム

ハックルベリーという果物をご存じでしょうか?アメリカで食材として用いられるナス科の単年草の果実です。熟した実はブルーベーリーより一回り大きく、黒紫色の美味しそうな見た目ですが、生食は独特のエグ味やソラニンという有毒成分があり、お勧めできません。ジャムなどの加熱調理が一般的です。しかし栄養価はブルーベリーに比べ、βカロテンが最大約20倍、アントシアニンが約7倍と驚きの成分を含む栄養価満点の果実なのです。

そのハックルベリーを会社西側の畑で栽培し、食材加工会社に依頼してジャムとして製品化しているのが、株式会社未来制御さんです。自動制御・設計・製作の卓越した技術で、用水路の遠隔制御や桃・トマト・ピーマンの選果場の制御システムなどを手掛けている「モノづくり大国ニッポン」を支える企業です。そんなメイドインジャパンの優良製品を送り出す企業が、なぜあまり知られていない果実のジャム作りを手掛けているのでしょうか。

水戸「会社周辺の農家さんが少ない量ですが、ハックルベリーを作って袋詰めして直売所に出していたんです。ご存じのように生では食べれませんから購入するお客さんも限られていて、売れ残って捨てられるのをよく目にしていたんです。せっかく作った物だから、活かせる使い方はないかなというのが出発点です。私の家も元々は米とタバコを作る農家ですからね。」
生産者も辞めようとしていたハックルベリーを集め、会社西側にある畑で自身も生産者に栽培を習ってハックルベリーを育てながら、六次化産業の先駆けとして平成22年に無添加のハックルベリージャムを製造しました。

水戸「製造している電子製品は、機械ではなく手作業で組み立てているので、工員個々の感性が品質にも大きく左右します。どうしても室内での作業ばかりになってしまいますから、視野も狭くなりがちです。そこで矢吹の自然を感じながら、自分の業務を広い視野で確認して向上してもらえればと思っています。」
工場周辺の植栽には、モミジなど四季の移ろいから、自然を感じられるよう配慮しているという。ハックルベリージャムも、そんな一見主業と離れたモノづくりから、ルーティンになりがちな業務への新たな視点作りの一環として水戸さんは捉えています。

水戸「“求められる確かな製品作り”は農業も工業も同じように、お客様の立場に立った広い視野が必要です。」実際、町のイベント「フロンティア祭り」で出会った東京農業大学の学生に、ジャムを無償で贈呈。匂いや甘さなどの寄せられた感想を参考にして改良していくと同時に、ジャムの他にもケーキやピザなどにハックルベリーを使用した商品も構想しているといいます。 水戸「今は食品としてジャムの原料ですが、濃紺の塗料資材としても考えられますよね。さまざまな活用法を模索できればと思います。」 工業技術は、今までになかった視点から革新が生まれます。ハックルベリージャムも開拓の町の起爆剤になるかもしれません。